as ~ as、more ~ thanなどの比較表現も、「程度副詞+形容詞」構造です。「程度副詞+形容詞」構造としてとらえることで、文の情報構造が明確になります。同等比較と比較級の2つの形(「more+形容詞」、「形容詞+er」)を図解します。
同等比較
同等比較as ~ asでは、前のasが程度副詞であり、後ろのasは接続詞です。例文をみていきます。
Tom is [as tall] as Emmy.
主節の「Tom is as tall」を考えます。形容詞「tall」は、尺度が身長であることを表します(上の図の左側「tall」の図)。程度副詞「as」は、程度が「同じくらいである」ことを表します(上の図の右側「as」の図の網掛けの領域)。「as tall」は、「背の高さが同じくらい程度である」ことを表します。
程度副詞「as」が何に対して同じくらいであるかは、従属するas節「as Emmy」によって示され、「エミーの身長」となります。as ~ as構文では、程度副詞「as」が「同じくらい」という程度を表し、as節が比較の対象を表します。
比較級:「more+形容詞」型
「more+形容詞」型の比較級では、moreは程度副詞であり、「more+形容詞」は「程度副詞+形容詞」構造となります。
This problem is [more difficult] than that one.
主節の「This problem is more difficult」を考えます。形容詞「difficult」は、問題の難しさが尺度であることを表しています(上の図の左側「difficult」の図)。程度副詞「more」は、「比較標準に対し程度が高い」ことを表します(上の図の右側「more」の図の網掛けの領域)。「more difficult」は、「問題の難しさがmoreの領域である(比較標準に対し程度が高い)」ことを表します。
比較標準は、従属節であるthan節によって示されます。ここでは「あの問題の難しさ」です。more ~ than型の比較構文では、moreによって程度が比較標準よりも高いことが表され、than節により比較標準が示されます。
比較級:接尾辞「-er」型
比較級の接尾辞「-er」を使った比較表現も、「more+形容詞」型と同じように分析することができます。
Tom is [tall -er] than Emmy.
ここで、接尾辞「-er」は、「more」と等価な程度副詞と考えることができます。「taller」は、程度副詞「-er」+形容詞「tall」の構造からなる合成語となります。
主節の「Tom is taller」を考えます。形容詞「tall」は、背の高さが尺度であることを表しています(上の図の左側「tall」の図)。程度副詞相当の「-er」は、「比較標準に対し程度が高い」ことを表します(上の図の右側「-er」の図の網掛けの領域)。合成された「tall -er」は、「背の高さが-erの領域である(比較標準に対し程度が高い)」ことを表します。
比較標準は、従属節であるthan節によって示されます。ここでは「エミーの背の高さ」です。接尾辞「-er」を含む語を使った比較構文では、-erによって程度が比較標準より高いことが表され、than節により比較標準が示されます。