生成文法の知見(3) 主語、目的語にも構造がある!「限定詞」から理解する冠詞と名詞

英文構造

  使い分けがわからないと言われる冠詞のaとtheですが、も少し広い概念である「限定詞(D: determiner)」で考えると、イメージがつかみやすくなります。(例えば、Renaat Declerck 著、安井稔 訳『現代英文法総論』, 39 )

1. 限定詞

  「限定詞」は、名詞の前に位置して、文における名詞の役割を限定するもので、以下のような語です。

     冠詞:a/ an, the
     代名詞の所有格:my, your, his, herなど
     指示代名詞:this, that, these, those
     不定代名詞:another, any, someなど

  theがhisと同じ機能だと考えると、限定の感覚がわかるのではないでしょうか。his carは、一般の車ではなく、彼が所有している1台の車を指します。同様にthe carは、その場にいる人が理解している特定の車を意味します。

2. 限定詞句

  「限定詞」が付いた名詞は、「限定詞句(DP)」を作ります。DPは、文法的に名詞(N)とは異なるものです。伝統文法では、主語、目的語は名詞からなるとされていますが、DP = D + N という構造です。

限定詞(D)名詞(N)
thepark
hiscar

  形容詞は、名詞を修飾するので、DとNの間に入ります。限定詞句を前から修飾する語は、such, allなど 、少数です。

限定詞前要素限定詞(D)形容詞名詞(N)
suchanicebook
alltheseredapples


3. 文中の限定詞句

  伝統文法で、主語、目的語は、単に名詞と説明されていますが、限定詞句(DP)を意識することで、文がより構造的に見えてきます。

S
(DP)
V
O
(DP)
A
(前置詞 + DP)
Theyare watchinga movie.
Sheis runningin the park.

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