使い分けがわからないと言われる冠詞のaとtheですが、も少し広い概念である「限定詞(D: determiner)」で考えると、イメージがつかみやすくなります。(例えば、Renaat Declerck 著、安井稔 訳『現代英文法総論』, 39 )
1. 限定詞
「限定詞」は、名詞の前に位置して、文における名詞の役割を限定するもので、以下のような語です。
冠詞:a/ an, the
代名詞の所有格:my, your, his, herなど
指示代名詞:this, that, these, those
不定代名詞:another, any, someなど
theがhisと同じ機能だと考えると、限定の感覚がわかるのではないでしょうか。his carは、一般の車ではなく、彼が所有している1台の車を指します。同様にthe carは、その場にいる人が理解している特定の車を意味します。
2. 限定詞句
「限定詞」が付いた名詞は、「限定詞句(DP)」を作ります。DPは、文法的に名詞(N)とは異なるものです。伝統文法では、主語、目的語は名詞からなるとされていますが、DP = D + N という構造です。
限定詞(D) | 名詞(N) |
the | park |
his | car |
形容詞は、名詞を修飾するので、DとNの間に入ります。限定詞句を前から修飾する語は、such, allなど 、少数です。
限定詞前要素 | 限定詞(D) | 形容詞 | 名詞(N) |
such | a | nice | book |
all | these | red | apples |
3. 文中の限定詞句
伝統文法で、主語、目的語は、単に名詞と説明されていますが、限定詞句(DP)を意識することで、文がより構造的に見えてきます。
S (DP) | V | O (DP) | A (前置詞 + DP) |
They | are watching | a movie. | |
She | is running | in the park. |
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